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初めて海外旅行する人にとって気がかりなのが、時差ボケ問題です。時差のある国に渡航した際、体調が整わず、旅行を楽しめなかった経験がある人も多いでしょう。
時差ボケを引き起こす条件や原因、海外旅行の際に取るべき対策について紹介します。
時差によって体内のリズムが乱れることにより、体調不良をもたらすことです。海外旅行の際に時差ボケが起こることはよく知られています。時差ボケと聞くと、日中に眠気が襲ってくるイメージを持つかもしれません。しかし、時差ボケになると日中の眠気や不眠だけではなく、体にさまざまな不調が生じます。
個人差はあるものの、睡眠不足や眠気・疲労感・めまいなどが起こる人が多いでしょう。食欲が低下したり、便秘や下痢を伴ったり、からだ全体に影響を及ぼすこともあります。
時差ボケが起こるのは、人間の体に備わっている生理的なリズムが狂うからです。人間には本来「体内時計」と呼ばれる機能があり、ホルモンバランスを整える役割を担っています。
体内時計の働きは太陽の光によって左右されます。海外旅行の際は、飛行機の中で長時間過ごすため太陽光が当たりません。当然、一定以上時差のある国へ渡航すると、太陽光の照射量が減ってしまいます。そのため体内時計の働きが乱れ、体調にさまざまな変化が現れるのです。
時差の影響を受けやすい人は、以下の3タイプにあてはまることが多いと言われています。
早起きで朝型の生活を送っている人は夜型の人と比較すると、一般的に時差ボケになりやすいです。朝型の生活パターンでは、体内時計は朝にリセットされます。そのため時差によって日中の活動時間が減少すると、夜型の人よりも生活リズムの変化に順応しにくい傾向にあります。
中年以上の年齢層の人は、若い人よりも体内時計を修正するのに時間がかかるとされています。中高年者の場合、高齢になるほど倦怠感や睡眠障害といった各症状が強く現れることが多く、回復の仕方もゆるやかです。
時差ボケは海外旅行中や、前後の睡眠の質が体調に影響を及ぼします。そのため環境の変化に対応するのが得意な人は、時差ボケしにくいのです。時差による生活リズムや睡眠の変化にストレスを感じやすい人は、時差ボケもしやすいと考えられています。
また体内時計の乱れを修正するには、積極的に人とコミュニケーションをとったり、活発に行動したりすることが有効です。
旅程を次の3つのタイミングに分けて、対策を講じるのがおすすめです。
出発前、海外旅行の計画を立てる際には、余裕のあるスケジュールを組むようにしましょう。過密なスケジュールは疲労がたまりやすくなるだけでなく、ホテルで睡眠時間を調整する時間も減ってしまいます。
到着後すぐにホテルで体を休められるように、夕方以降に到着するフライトを選ぶのも良いでしょう。
また出発の前日には、たっぷり睡眠を取るようにしてください。時差ボケが予想される場合、前もって体内時計を整える必要があります。就寝・起床共に少しずつ時間をずらし、生活リズムを現地時間に近づけておくのもよいでしょう。
フライト中の機内では、現地時間と生活リズムのずれが少なくなるように過ごしてください。機内で映画を観たり音楽を聞いたりしながら起きておくと、到着時間が夜でもホテル到着後に休息をとれます。機内食もできるだけ食べるのがよいでしょう。現地時間に合わせて提供されるものなので、食事のリズムを整えるのに役立ちます。
機内では不慣れな環境下で就寝するため、なかなか快適に眠れない人も多いでしょう。アイマスクや耳栓、ネックピロー、背あてクッションなどの安眠グッズを活用し、質の高い睡眠を確保する工夫も大切です。アルコールやカフェインの摂りすぎにも注意してください。
現地での滞在中は体内時計をなるべく乱さないことが大切です。意識的に太陽の光を浴びるようにして、体内時計を整えましょう。滞在中は規則正しい生活リズムを保つ以外に、適度に体を動かすようにしてください。
帰国後は休日を設けたり活動量を控えめにしたりして、十分な休息を取るように心がけましょう。夜はしっかりと睡眠を取ることで、生活リズムを戻しやすくなります。
時差ボケの対策は海外旅行先にどのくらい滞在するかによって変わります。移動する方角によって時差の影響が左右されると言われているため、対策が必要となる国もあります。
滞在時間が2~3日と短い場合、日本時間に合わせて行動し、生活リズムを変えないのもひとつの方法です。無理に体内時計を調節しようとすると、かえって体に負担をかけてしまうこともあります。到着からチェックインまで時間があるときは、なるべく機内で睡眠をとっておきましょう。
滞在時間が1週間以上と長い場合は、到着時刻に合わせて、出発前に数日間かけて睡眠時間を調整するようにしましょう。日本より西に位置する国へ渡航する場合は、1~2時間ずつ生活リズムを遅く、日本より東にある国へ行く場合は1~2時間ずつ早め、現地時間とのずれが少なくなるようにします。
4~5時間以上の時差が発生する移動をした場合、時差ボケになる可能性が高いと言われています。東の方角へ移動する場合、西への移動よりも時差の影響を受けやすくなります。東の方角への移動では、1日の時間が短くなるため、体内時計が乱れやすいのです。
たとえば同じ12時間のフライトでも国によって到着時間が変わります。日本から見て西にあるロンドンと、東にあるシカゴへの到着時間を比較しました。
【日本を17時に出発した場合の現地到着時刻】
・ロンドン:20時(サマータイム中は21時)
・シカゴ:14時(サマータイム中は15時)
ロンドンでは到着後すぐにチェックインして就寝できるのに比べ、シカゴではチェックインまで、まとまった睡眠が取れずに、丸一日起きている状態になります。そのためシカゴへの移動のほうが、時差ボケになる確率が高いでしょう。
ハワイや北米など、日付変更線を越えて日本より東に位置する国では、時差ボケ対策の重要性が増します。
海外旅行の際、時差ボケになるのを避けるには、旅行中・旅行前後の過ごし方に気をつけて、質の高い睡眠を確保するのが大切です。
自分の体質や年齢のほか、移動する国によって時差の影響が異なることも考慮して対策しましょう。