公開日: |更新日:
外貨預金やFXといった資産運用を行っている人にとって、円安・円高といった為替レートは気になるポイントですが、実は海外旅行の前に外貨両替サービスを利用する際も、為替レートが影響しています。
外貨両替サービスで用いる金額が大きいほど、円安・円高による影響差も広がるため、お得に海外旅行を楽しむためにも為替の基本を理解しておきましょう。
日本と海外の「通貨の価値」を比較して、それぞれの外貨に対して日本円の価値が安くなった場合は「円安」、高くなった場合は「円高」と呼び、日本円と外貨の価値がどのように変動しているのかを把握します。
例えば、日本円と米ドルを比較した場合、1ドルあたり100円の状態から、1ドルあたり90円になったとすれば、「1ドルで両替できる日本円が10円分減った=円の価値が上がった」と考えられ、円高(ドル安)になったということができます。
反対に、1ドルで両替できる日本円が100円から110円になったとすれば、1ドルで交換できる日本円の金額が増えているため、相対的に「ドルの価値が上がった=円安/ドル高」となります。
円安・円高といった為替レートの指標は、日本円と外貨それぞれの関係性であり、当然ながら為替取引が行われている外貨の数だけ存在することがポイントです。
つまり、例えば日本からアメリカや米ドル圏へ旅行する場合、チェックすべきは日本円/ドルに関連した円安・円高であり、あるいは韓国へ旅行するのであれば日本円/韓国ウォンに関連した円安・円高を確認することが必要になります。
通貨に応じた円安・円高といった為替レートは、日本と相手国との外交関係や経済的関係、またそれぞれの国の社会情勢などによっても変動するので、自分が海外旅行で向かう目的国の通貨について確認しておくようにしてください。
日本円と外貨との関係性が変われば、必然的に外貨両替で手に入る金額も変わります。また、現金でなくクレジットカードで買い物をする場合、現地通貨と日本円の為替レートが反映されて請求額が決定するため、タイミングによっては高額な商品をお得に購入できたり、反対に余分にお金を払ったりしなければならないこともあるでしょう。
円高は、外貨に対して日本円の価値が高まっている状態です。例えば、1ドル:100円の場合、100ドルぶんの買い物をしようと思えば1万円が必要です。しかし、1ドル:80円であれば、100ドルぶんの買い物も8千円で行えるようになります。
つまり、同じ100ドルぶんの商品を買っているにもかかわらず、円高の時に購入すれば日本人の支出はそれだけ安く済むということです。
当然ながら、為替の影響はショッピングだけでなく、ホテルの宿泊費や食費、また交通費などに影響することもあり、できるだけ円高の時に海外旅行を計画することが、お得に旅行を楽しむコツといえるでしょう。
外貨両替サービスは、日本円と引き換えに相当分の外貨を手に入れるシステムであり、日本円をベースに考えれば必然的に円高のほうが外貨を多く獲得できます。
計算例としては以下のようになります。
つまり、外貨両替サービスを活用する場合、できれば円高の状態でサービスを申し込むことが、お得に外貨を手に入れるポイントです。
円安・円高といった為替レートは、常に一定というわけでなく、大なり小なり日々変動しています。そのため、円高になったタイミングで外貨両替を行えばお得になるものの、外貨両替サービスによって為替レートを反映するタイミングが異なることも無視できません。
例えば、窓口で直接的に日本円を外貨へ両替する場合、その日の為替レートや、交換する時点での為替レートが反映され、両替手数料を差し引いたぶんの外貨を手に入れることができます。また、オンラインで外貨両替を申し込んだ場合、取引決済が完了した時点の為替レートが反映されるかもしれません。
一方、郵便やFAXなどを使って外貨両替サービスを依頼する場合、申請書類を郵送してからサービス提供会社へ書類が到着するまでタイムラグが生じ、その間に為替が変動することも考えられます。
そのほかにも、外貨両替サービスごとに為替レートに関連する規約が異なるので、事前に詳細を確認しておくことが大切です。
海外旅行の前に、思わぬトラブルへの備えとして多めに外貨両替を行っていた場合、帰国した時点で外貨を使い切れず、余ってしまうこともあるでしょう。そのような時、余った外貨を再び日本円に両替することになりますが、もしも両替する金額が大きい場合、両替するタイミングを考慮して円安を狙うこともポイントです。
円安・円高といった為替レートは日本円と外貨の関係性にもとづいており、それはすなわち日本国と海外との関係性に影響されているともいえます。
そのため、例えば日本の経済事情に大きな動きがなくとも、相手国の国内情勢に大きな変化があれば、円安・円高の動きも明確にあらわれるといえるでしょう。
一国の行事でありながら、全世界が注目する大イベントのひとつとして、4年に一度のアメリカ大統領選挙があります。
大統領が替わることで国内の経済対策や外交方針が大きく変わることもあるため、大統領選挙が日本円と米ドルの関係に強い影響を与えることは当然です。
通貨とは、ある意味でその国の象徴であり、貨幣価値はその国に対する信頼度の指標です。言い換えれば、その国の経済や情勢が安定しており、将来的な発展が期待できれば、その国の通貨を保有しておきたいと考える人が増え、その通貨の価値も高まります。
ヒラリー氏とトランプ氏がたたかった2016年の米国大統領選挙では、米国初の黒人大統領であったオバマ大統領と同じく、民主党のヒラリー氏が当然ながら勝つだろうという予想が広がっていました。そのため、安心感からドルが買われてドル高/円安に傾いていました。
しかし、大統領選挙の当日、事前の予想を覆してトランプ氏が大きく票を伸ばした結果、為替レートの急激な乱高下が引き起こされ、「トランプリスク」とも呼ばれました。
とはいえ、トランプ氏の勝利がほぼ確定する頃には、むしろ新しい政権の誕生による経済政策への期待感が広まり、再びドルが買われてドル高/円安という状態になったのです。
アメリカ大統領選挙2016の後、一時期は1ドル:118円台になっていたドル円関係は、2020年のアメリカ大統領選挙が近づくにつれ、徐々に円高傾向となっていました。そして、2020年11月3日のアメリカ大統領選挙2020当日、1ドルおよそ104円という状態となりました。
しかし、共和党のトランプ大統領と、オバマ政権時の副大統領であったバイデン元副大統領が争ったアメリカ大統領選挙2020は、さまざまな要因から全米各地で接戦となり、さらに投票日の後もなかなか次期大統領が確定しないという異常事態も合わさって、再び米ドル/日本円は乱高下を繰り返しました。
2020年11月23日、アメリカの政権移行作業を統括するGSA(米国共通役務庁)がバイデン氏を次期大統領と認定し、増税路線を掲げているバイデン次期大統領の影響から、全体的に円高傾向へ進むと予想する専門家もいます。そのため、2021年以降のアメリカ旅行は日本人にとってお得かもしれません。
ただし、大統領選挙と同時に行われた上院議員選挙では2021年1月に決選投票が持ち越されるなど、まだまだ米国内の政治情勢には緊張感があり、実際の影響については落ち着いて状況を見極めることが必要といえるでしょう。