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このページでは、ぼったくりレートの危険性がある海外ATMについて、特徴や対処法を紹介しています。
外貨両替を行う場合、信頼性のある銀行で行うのが一番と考える人は少なくありません。確かに、銀行はステータスが高く実績もあり、確実に両替するなら銀行がいいでしょう。しかし、「銀行のATMは信頼できる」という常識が通用しないケースがあることは、知っておいたほうがよいかもしれません。
つまり、海外の銀行ATMの中には悪質なところもあり、法外なレートを提示してくる可能性があるということ。
もちろん、すべての海外銀行ATMが法外なレートを提示するわけではありませんが、たまにおそろしく高いレートで両替を提案してくる銀行ATMもあるという点は頭に置いておきましょう。
悪質な銀行ATMに騙されないようにするための対策の一つは、本来はないはずのレートの提示に気をつけることです。
悪質なATMの場合、両替手続きの途中であえて「このレートで両替します。いいですか?」という確認のメッセージを表示させ、ユーザーの同意を求めることがあります。
これは一見すると正常に思えますが、実は通常の海外ATM引き出しではレートの表示はされないので、注意しなければなりません。
もっとも、逆のケースもあって、手続きが終了するまでレートの表示を行わず、実際には法外なレートが適用されていて、後になってからそれに気づくというパターンもあります。いずれの場合でも、ユーザーとしては事前に相場を確認しておくことで対処できるでしょう。
両替前・決済前に必ず現在相場をチェックする…その習慣を身に着けておけば、悪質レートに騙されることはありません。海外旅行に慣れておらず、現地で両替をせざるをえない場合は、両替機を使う前に必ず相場をチェックしておくことをおすすめします。
銀行ATMで割高なレートが適用される理由の一つは、そのATMにDCC(ダイナミック・カレンシーコンバージョン)が導入されているからです。DCCは海外発行のクレジットカードを使用して現地の買い物で決済しようとするとき、支払金額を自国通貨建て(日本人なら円)で表示してくれる便利なサービスですが、このサービスを導入しているATMや小売店ではDCCを提供するために手数料が上乗せされており、その上乗せが割高なレートの提示に繋がっている可能性があります。
要するに、DCCが使用できる代わりに、交換レートはATMの言い値に従ってもらうよ!というシステムになっているということです。
DCC自体は便利なサービスであり、問題はありませんが、DCCを悪用して法外なレートを適用させてくるATMがあることは覚えておきましょう。少しでも不審な点があれば、すぐに当日の為替相場をチェックしてみることをおすすめします。それで実際のレートと提示されたレートに乖離があれば、ぼったくりの可能性が高いと判断できるでしょう。レートに乖離があるのは、実際のレートにATMが手数料を上乗せしているからです。
DCCが導入されているATMで悪質レートに騙されないようにするには、どうすればいいのでしょうか?その方法は、ATM引き出しの手続きで「自国通貨建て」と「現地通貨建て」の選択を求められた際、迷わずに現地通貨建てを選ぶことです。例えば、日本人がマレーシアで両替するときは、自国通貨建ての円ではなく現地通貨建てのリンギットで請求を選択します。このようにすれば、DCCの利用を拒否したことになり、手数料の上乗せによる悪質レートの提案を回避することができます。
ここで大事なポイントは、銀行ATMで引き出しを行うにあたって、DCCの利用を避けるということです。DCCを利用しなければ、請求金額の表示は必然的に現地通貨建てになります。
DCC自体は違法なサービスではありませんが、この便利なサービスを隠れ蓑にして悪質レートを適用させようとする業者もまた存在します。そうした業者を見極めるのは簡単ではありませんが、最初から現地通貨建てを選べば問題ありません。
DCCの利用を回避するだけでなく、高額レート・手数料を請求してくる悪質ATMの特徴も理解しておきましょう。見分けるポイントの一つは、「引き落とし前にレートの提示があるか否か」です。
このうち悪質ATMの可能性が高いのは、引き落とし前にレートを提示してくるATMの方です。普通のATMでは引き落とし前にレートを提示することはなく、「このレートでコンバージョン(両替)しますか?」などと聞いてくることもありません。それにもかかわらずレートの提示がある場合は、危険性が高いと疑ったほうがいいでしょう。
そして、「請求は日本円に(両替)しますか?」という問いかけがあるかどうかもチェックポイントです。これはDCCのコーナーでも紹介したとおり、DCCのサービスを利用してレートの上乗せを行う手口である可能性が高いので、このような問いがあった場合は、現地通貨建てを選ぶようにしてください。ここで自国通貨建てを選択すると、ATMが設定した為替レートが適用されることになり、両替コストが割高になってしまいます。
一方、現地通貨建てを選択すれば、VISAやJCBなどカード会社が設定したレートの適用となり、良心的な価格で両替を行うことができます。繰り返しになりますが、ATMで両替を行うときは、自国通貨建てでの請求を拒否し、必ず現地通貨建てによる請求を選択しましょう。
渡航先の現地で行う外貨両替は、悪質ATMでぼったくりレートを提示されるなど、様々なリスクを伴います。現地での両替の方がレートを安く抑えることができるのは確かですが、法外なレートを適用されては元も子もありません。
ある程度の金額については、日本国内で安全に両替しておくことをおすすめします。以下の項目では、日本国内で行える両替の方法について紹介しています。
日本国内で外貨両替する方法の一つは、外貨宅配サービスを利用することです。文字通り、自分が指定した外貨と円を交換し、その外貨を自宅や勤務先など指定した場所に宅配してくれるというサービス。交換レートはやや高めですが、ぼったくりほどではなく、むしろ偽札をつかまされる恐れがないという点で信頼性が高い両替方法です。
外貨宅配サービスでは、お札の数や種類(内訳)を指定することもでき、自分の利用スタイルに合わせた両替が可能になるほか、24時間いつでも手続きを受け付けていたり、WEB取引ができたりと利便性も抜群です。このような外貨宅配サービスを利用して現金だけでも両替しておけば安全性は高まり、現地に行ってからの気苦労も軽減されるのではないでしょうか。
ATMはATMでも、海外ではなく国内空港のATMなら安全性は高まります。レートは基本的に高いのですが、ぼったくられるようなことはまずなく、外貨宅配サービスと同様にお札の数や種類(内訳)を指定できるなど、高い利便性も提供しています。
実際のサービス内容やスペックは銀行によって異なりますが、ドル・ユーロ・元などメジャーな通貨は普通に両替できますし、マイナー通貨でも必ずどこかの銀行で取り扱いがあります(※ただし、極端に流通量の少ない通貨の場合は注意してください)。
このように、国内空港のATMにてある程度の金額を両替する方法もおすすめです。
なお、外貨両替を国内ATMで行う際、米ドルやユーロのように、日本に多く流通しており相対的に価値の高い通貨の場合は、現地で両替するより国内で両替したほうが安いレートになることもあります。
なぜなら、米ドルやユーロを使う国では日本円の通貨価値が低いことが多く、現地で交換すると余分な手数料やレートが上乗せされてしまう可能性があるからです。国内空港のATMを利用する前には、このことも確認しておいてください。
国内で行う外貨両替なら、銀行を選択する方法も良策です。レートは決して格安とは言えませんが、ぼったくられる危険性が少なく安心感が持てるなど、少なからずメリットがあります。
三井住友やみずほなど大手銀行は取扱通貨の数が多く、主要通貨からマイナー通貨まで幅広い取り扱いがあることはユーザーにとって魅力的です。
ただし、外貨両替できる銀行とそうでない銀行があることや、マナーな通貨は両替できないケースもあること、外貨両替できる上限額が銀行によって違うこと、ATMがない場合は直接店舗まで足を運ぶ必要があること、営業時間が銀行によって異なることなど、事前に確認しておくべき項目があります。
ちなみに、りそなを除く5大銀行(三菱UFJ・三井住友・みずほ・SBJ・ゆうちょ)はすべて、羽田・成田・関空など主要国際空港に両替所を設置しています。りそなも同国際空港に両替所がありますが、一般の店舗では外貨両替を行うことができません。
特に事前確認が必要なのは、営業時間と紙幣の内訳です。銀行の場合、営業時間は15時までが基本ですが、最近は15時以降も対応可能な銀行が増えてきています。
また紙幣の内訳については、銀行によって取り扱いが異なるだけでなく、同じ銀行内でも店舗によって取扱通貨の種類や指定可否が異なるので、各銀行の対応とスペックを注意深くチェックしておきましょう。